自然災害リスクを調べる:「重ねるハザードマップ」の活用
洪水や津波の浸水想定や土砂災害警戒区域等、道路冠水想定箇所、土地条件図や治水地形分類図、活断層図などが公開されており、かなり良くデータが集約されている印象です。
地図上に情報が重ねて表示され、アイコンの下に表示中の情報のリストが現れます。
色付けされている領域は、洪水や土砂災害のリスクが高いことが分かります。また、洪水や土砂災害の想定に加えて、道路の冠水が想定される場所(中央下部の!マーク)も表示されました。
今度は、洪水の被害を特に受けやすい場所を探してみます。
「土砂災害」「道路防災情報」アイコンをもう一度クリックして、表示を消します。
これで、左右で別々の情報を表示できるようになります。情報が被って見にくい場合に便利な機能です。片方の表示範囲を動かしても、もう片方が自動で動いてくれないのがたまにキズですが…
一方、右側では、「すべての情報から選択」>「土地の特徴・成り立ち」>「地形分類(自然地形)」を順にクリックします。
比較してみると、かつて河川があった場所で、想定浸水深が深くなっていることが分かります。
もっと古い戦前の情報を確かめるには、古地図を見る必要があります。
一旦「重ねるハザードマップ」を離れて、古い地図を調べにいきましょう。
埼玉大学の谷先生が開発している今昔マップを使うと、現在の地図と、古地図や昔の空中写真などを分かりやすく比較することができます。ハザードマップの情報が必要なければ、「重ねるハザードマップ」よりも使いやすくて便利だと思います。
残念ですが、ちょっと公開範囲を外れてしまっていました。
大きく蛇行していた旧河川は、すでに田んぼとして活用されていたことが分かりました。当時の集落は、自然堤防(河川が氾濫した際に土砂が溜まって形成される)に位置していたと思われます。
ハザードマップとの比較から、こうしたかつての河川の痕跡が、災害時に蘇ってくるということが分かります。
2画面表示をOFFにして、「すべての情報から選択」から「活断層図」「急傾斜地崩壊危険箇所」「大規模盛土造成地」を表示してみます。
がけ崩れの恐れがある場所が薄紫で表示されました。
「すべての情報から選択」>「標高・地形」>「陰影起伏図」をクリックすると、地形の陰影が表示されます。
なぜ危険なのかが、視覚的に分かりやすくなりました。
ただし、「陰影起伏図」と「急傾斜地崩壊危険箇所」のように、重ねて表示すると見にくくなる組み合わせもあるので、注意が必要です。
今回確認した地域では、指定避難所の情報は八戸市のハザードマップにのみ記載がありました。やはり、特に避難を考える上では、自治体の最新情報を確認する必要があります。
この記事の内容をまとめますと、以下のようになります。
・地方自治体が公開しているハザードマップが最も重要
・複数の地域の情報を確認したいときなどに、「重ねるハザードマップ」が便利
・土地の変遷を見たいなら、「今昔マップ」が便利
(公開されている地域外であれば、スタンフォード大学のWebサイトなどが便利)
不明な点や誤りなどありましたら、コメントにてお知らせいただけると幸いです。
*1:実際に、戦後撮影された空中写真をかなり参考にして作成されたようです。
「地形分類図を作成する際に最も重要な資料は、終戦直後に米軍によって撮影された空中写真であり、約4万分の1(全国を網羅)と約1万分の1(平野部を中心に撮影)の2種類があります。」(治水地形分類図解説書/国土地理院)
ちなみに、古い空中写真は、国土地理院の地図・空中閲覧サービスで確認することができます。
*2:「最大クラスの津波は、現在の科学的知見を基に、過去に実際に発生した津波や今後発生が想定される津波から設定したものであり、これよりも大きな津波が発生する可能性がないというものではありません。浸水域や浸水深は、局所的な地面の凹凸や建築物の影響のほか、地震による地盤変動や構造物の変状等に関する計算条件との差異により、浸水域外でも浸水が発生したり、浸水深がさらに大きくなったりする場合があります。」(津波浸水想定について(解説)/青森県)