Yahoo!防災速報とgoo防災アプリ:何が違う?どう使い分ける?

昨今はスマートフォン向けの防災アプリが充実しています。中でも、Yahoo!防災速報goo防災アプリは代表的なアプリです。現在地や登録した場所の防災情報をプッシュ通知で知らせてくれたり、マップ機能で視覚的に分かりやすく情報提供してくれるという特徴があります。しかし、両アプリとも総合防災アプリとして機能が充実しているがゆえに、一見すると両者の違いが分かりづらい側面があります。本記事では、両アプリの機能の違いを整理し、使い分けについて検討します。

Yahoo!防災速報の特徴

・洪水・土砂災害の危険度情報をマップに表示可能
 危険情報の面的な把握が可能です。大雨警報(浸水害)の危険度分布には対応していないので、浸水害は対象外となっています。

・洪水の浸水想定区域や土砂災害警戒区域等をマップに表示可能
 洪水の浸水想定区域は計画規模の想定になっています(想定最大規模ではない)。土砂災害については、地すべりは対象外です。

 ・ユーザーからの投稿をマップに表示可能
 土砂災害と洪水の危険情報、ライフラインに関するユーザーの投稿が表示されます。

・情報の種類が多い
 熱中症情報・防犯情報・豪雨情報はgoo防災アプリにない情報です。

ハザードマップへのリンク有り
 全国の自治体のハザードマップへのリンクがあります。現在地の位置情報から探すこともできます。

goo防災アプリの特徴

・マップで表示される施設の種類が多い
 避難施設のほか、病院や公衆電話などが表示可能です。Yahoo!防災速報は避難場所のみ。詳細は不明ですが、片方に表示されていてもう片方に表示されていない避難場所もあり、情報源が異なるようです。

・色別標高図をマップに表示可能
 地形の起伏が分かりやすい機能です。標高で施設を絞りこむこともでき、施設をタップすると周辺の平均標高を知ることもできます(さすがに建物の高さは分かりませんが)。

・安否登録が直接可能
 安否登録をまとめて検索できるJ-anpiと連携しています。アプリから安否情報を簡単に登録できるのは便利です。Yahoo!防災速報には、Web171やJ-anpiへのリンクがあります。

・地図データを保存可能
 一定の範囲の地図をダウンロードしておくことができます。そのため、非常時にはオフラインで利用することができます。

・避難経路に勾配を表示可能
 現在地から選択した施設までのルートを表示することができます。ルートは1つしか表示されません。避難訓練前にルートを検討するのには役立つかもしれません。

どう使い分ける?

両アプリに共通して言えることですが、プッシュ通知が最も役に立つ機能でしょう。両アプリである必要はありませんが、格安SIMでETWSに対応していない場合にはインストールが必須と言えます。また、当然ながら自治体の情報に比べると網羅性・最新性に劣るので、基本的には外出時を念頭において使うのが良いと思います。

では、両アプリは具体的にどう使い分けるべきでしょうか?

1)近くのハザード情報が知りたい:Yahoo!防災速報
  直接自治体情報にあたるのがベストですが、Yahoo!防災速報では洪水の浸水想定区域や土砂災害警戒区域等を手軽に確認することができます。ただし、洪水は想定最大規模ではない点に注意が必要です。

2)近くの避難場所を探したい:どちらでも
 直接自治体情報にあたるのがベストですが、両アプリとも周囲の避難場所を手軽に探すことができます。Yahoo!防災速報では、ファーストメディア株式会社が作成した避難場所情報を表示しているようです。goo防災アプリは不明ですが、見たところ情報源はYahooとは異なるようです。なお、少なくともYahoo!防災アプリで表示しているのは、「指定緊急避難場所」で、「指定避難所」ではありません(goo防災アプリは不明)。つまり、被災時に避難生活を送る場所(指定避難所)は表示されません。基本的にアプリは、自宅を離れているときに緊急的に使用するのが良いと思います。

3)近くの危険度が知りたい:Yahoo!防災速報
 goo防災マップでは、今のところ危険度分布をマップ上で詳しく確認することができません。Yahoo!防災速報はビジュアル的にも綺麗に表示してくれます。ただし、浸水害の危険度分布は表示されないので、内水氾濫の危険度を確認したい場合、気象庁スマホ向けページを参照するのが良いでしょう。

4)津波から避難したい:どちらかといえばgoo防災アプリ
 周辺の地形や避難施設の標高がすぐに分かるのはgoo防災アプリです。ただし、どうやって逃げるか考えているうちに津波が来ます。そもそも沿岸部では事前に津波からの避難経路を確認しておく習慣をつけるのが一番です。

5)安否登録・確認したい:どちらかといえばgoo防災アプリ
 goo防災アプリは、安否登録が直接可能なのが便利かもしれません。ただ、Yahoo!防災速報にもWeb171やJ-anpiへのリンクがあるので、大きく手間は変わらないと思います。安否確認には他にも便利なアプリがありますので(ココダヨなど)、あえて両アプリにこだわらなくても良い気はします。